パデルは実はまだ60年に満たない歴史のスポーツです。どこで生まれ、どうやって世界中に広まったのか。そして日本ではどのくらい普及しているのか、事実を整理してご紹介します。
発祥:1969年、メキシコの別荘から
パデルの始まりは1969年、メキシコ・アカプルコです。実業家のエンリケ・コルクエラ氏が、自宅の敷地にフルサイズのテニスコートを作るスペースがなかったため、20×10mの小さなコートを壁で囲み、中央にネットを張ったのが原型と言われています。「壁に跳ね返ったボールも打ち返せる」という現在のパデルの最大の特徴は、このときの限られたスペースを逆手に取った工夫から生まれました。

スペインへ、そして世界的な社交スポーツに
1974年、コルクエラ氏の友人でスペインの貴族アルフォンソ・デ・ホーエンローエ氏がアカプルコでパデルに出会い、スペイン・マルベーリャの自身のホテルにコートを持ち帰りました。当時マルベーリャはヨーロッパの貴族やセレブが集う避暑地で、この社交ネットワークを通じてパデルは急速に広まっていきます。
1975年頃にはアルゼンチンにも伝わり、1980年代以降「国民的スポーツ」と言えるほどの人気を獲得。現在アルゼンチンの競技人口は200万人以上、コート数は1万面を超えるとされ、サッカーに次ぐ人気スポーツになっています。スペイン国内でも1987年にスペイン・パデル協会が設立され、現在ではサッカーに次ぐ第2の人気スポーツという位置づけです。
国際組織の設立と近年の急成長
1991年7月、アルゼンチン・スペイン・ウルグアイの3か国協会により、国際パデル連盟(FIP:International Padel Federation)がマドリードで設立されました。1992年に第1回世界選手権が開催され、その後加盟国・地域は着実に拡大していきます。
- 2010年代末:加盟連盟40超
- 2023年:加盟連盟70・国際大会160以上
- 2025〜2026年:加盟連盟100・150か国以上で競技、競技人口は約3,500万人(FIP公式発表)
コート数も2025年時点で世界約77,300面に達し、1年間で14,355面(+15.2%)増加しました。地域別ではヨーロッパが選手全体の約60%を占め、南米23%、アジアは6.4%です。ヨーロッパの中でもスペインが最多(約17,300面)、次いでイタリア(約10,220面、2022年比+29%)、スウェーデン(約4,220面、人口普及率90%)と、南欧だけでなく北欧まで急速に広がっているのが近年の特徴です。

日本での広がり
日本には2013年、埼玉県所沢市のフットサル施設に日本初のコート2面が作られたのが始まりとされています。2016年6月に日本パデル協会(JPA、名誉会長は『キャプテン翼』作者の高橋陽一氏)が設立され、2017年7月に国際パデル連盟へ正式加盟しました。
国内の競技人口・コート数については、発表時期や発表元によって数字にばらつきがあります。
| 時点 | 数字 | 出典 |
|---|---|---|
| 2023年4月 | コート42面、競技人口約30,000人 | スペイン大使館記者会見(ProPadel Japan発表) |
| 2024年6月 | 国内21施設44コート、競技人口42,000人(うち選手登録者数約1,000名) | 業界メディア |
将来目標についても複数の発表があり、「2030年までに競技人口100万人」(JPA公式)、「2031年までに35万人・350コート」(別発表)等、発表元・時期によって異なる数字が並存しています。いずれにせよ、ここ数年で施設・競技人口とも着実に増えていることは共通しています。
2026年アジア競技大会で正式競技デビュー
2026年3月6日、大会組織委員会・アジア・オリンピック評議会(OCA)・国際パデル連盟(FIP)の間で覚書が締結され、パデルが愛知・名古屋2026アジア競技大会(2026年9月19日〜10月4日)の正式競技として追加されることが決まりました。日本国内での認知拡大の大きなきっかけになりそうです。
なぜ近年これほど人気なのか
各国の紹介記事・協会サイトで共通して語られている理由は、主に次の4つです。
- テニス経験者が参入しやすい:得点方式がテニスと同じで、ラケット競技の経験者はすぐに馴染める
- 身体的なハードルが低い:コートが狭く、サーブも下から打つため、運動経験を問わず取り組みやすい
- 壁を使う戦術性:パワーだけでなく、跳ね返りを読む予測力やポジショニングなど頭脳戦の要素が評価されている
- ダブルス専用の社交性:4人でプレーするため会話が生まれやすく、「プレーの後のカフェタイムまでがパデル」という文化が広まっている
まとめ
半世紀ほど前にメキシコの別荘から始まったパデルは、スペイン・ラテンアメリカでの爆発的な普及を経て、いまや世界3,500万人が楽しむスポーツになりました。日本ではまだ発展途上ですが、2026年のアジア競技大会をきっかけに、これから知名度が大きく変わっていく可能性があります。まずは近くのコートで体験してみませんか。→ 関東のパデルコート一覧・探し方
出典:国際パデル連盟(FIP)History、日本パデル協会、第20回アジア競技大会公式発表(2026年3月6日)、JOC 愛知・名古屋アジア大会 パデル


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