アジア大会で日本女子が金メダルを取ったのを見て、パデルを始めた。体験会で1〜2回打ってみたら、思っていた以上に楽しかった。でも、後ろの壁から返ってくるボールにはまだ振り回される。この記事は、そんな人が「次にコートへ行ったら何を練習すればいいか」を5つのステップにまとめたものです。
英国のパデル統括団体LTA Padelのガイドは、初心者がまず集中すべきことを3つに絞っています。下から打つサーブを安定して入れること、後ろの壁から出てくるボールを早く取りに行かずに待つこと、パートナーと一緒に動くことです。この記事ではこのガイドを土台に、ラリーを続けるためのロブとボレーを加えました。どれも、テニスの経験がなくても今日から取り組めます。
ステップ1:後ろの壁の使い方「一歩下がって、待つ」
パデルを始めたばかりの人が一番戸惑うのが、後ろのガラス壁です。深いボールが来ると、つい壁に当たる前に打とうとして窮屈なスイングになる。テニス経験者ほどこの癖が抜けにくいのは、初心者が最初につまずく7つのポイントでも1番目に挙げた「あるある」です。
まず覚えたいのは、バウンドしたボールは、後ろの壁に当ててから打っていいということです。パデルのコーチング機関「The Padel School」は、壁の前での動きを次の2ステップで説明しています。
- ボールと一緒に、小さく一歩下がる:ボールがガラスへ向かうのに合わせて下がります。下がらずにいると、体の後ろで打つか、すくい上げるしかなくなります
- ボールが自分を通り過ぎたら、一歩前へ:跳ね返ってきたボールに向かって踏み込みます。前に出ないと、手首だけで返す窮屈なショットになります
打つタイミングは、壁から跳ね返って、ボールがもう一度落ち始めたところが理想とされています(Padel39の解説)。
練習のしかた:2バウンドから始めて、1バウンドへ
いきなり壁から出てきたボールを打つのが難しければ、壁に当たったあと、もう一度地面でバウンドさせてから打つところから始めましょう。パートナーに同じコートの少し前に立ってもらい、深めのボールをゆっくり出してもらいます。LTA Padelのガイドが紹介している段階的な練習方法です。まずは10球を目安に繰り返してみてください。慣れてきたら、2回目のバウンドを待たずに打つ形へ進みます。
名古屋・大須のコート「パデル名古屋」が、後ろの壁から返ってきたボールを打つショット「レボテ」の初心者向けのポイントを、公式チャンネルで解説しています。
慣れてきたら:壁を使うか、使わないか
すべてのボールを壁に任せればいいわけではありません。ジャパンパデルアカデミーの庄山大輔さんは、相手のボールを次の3つで見分けて、壁を使うかどうかを判断しようと解説しています。
- 速いか、遅いか
- 長いか、短いか
- 跳ね上がるか、沈むか
最初は「迷ったら壁を使う」で十分です。ラリーが続くようになってきたら、この3つを意識してみてください。
ステップ2:サーブは「力より、入れる」
パデルのサーブは、テニスのように上から打ちません。ルールは次の3つです。
- サービスラインの後ろで一度ボールをバウンドさせてから打つ
- 下から、腰より低い位置で打つ
- ネットを越えて、対角線のサービスエリアに入れる
テニス経験者は、サーブで1点取りにいきたくなるかもしれません。でもパデルのサーブで大事なのは、威力より配置です。確実に入れて、そのままネット前へ出る。ネットを取ったペアがラリーの主導権を握るので、サーブはそのための「入り口」です。
練習のしかた:5本続けて、目印まで前へ
ガイドが勧めている練習は、サーブを打ったら、そのままネット前の決めた位置まで移動するというものです。目印は、横のフェンスの2本目の支柱と横に並ぶ位置(ネットからの距離を支柱にそろえる)で、センターラインからラケット1本分外側です。5本続けて、毎回この目印までたどり着くことを目標にします。
ステップ3:ロブを覚える。パデルで一番大事なショット
テニスでロブといえば、追い込まれたときの苦しまぎれの一打という印象かもしれません。パデルでは違います。LTA Padelのガイドは、ロブを「パデルで最も重要なショット」と位置づけています。相手が2人ともネット前にいるとき、頭上を越えるロブで後ろへ下げれば、今度は自分たちが前に出られます。ネットを取り返す、攻めの起点になる一球です。
打ち方のポイントは3つです。
- ラケットの面を上に向ける:面を空へ向けて、高さを出します
- 下から上へ振る:低い位置から始めて、頭の上で振り終えます。膝を曲げて、脚で押し上げるイメージです
- サービスラインを越えて、後ろの壁の手前に落とす:相手の頭上を越える高さが必要です。短いと、スマッシュの絶好球になってしまいます
逆に言えば、面が上を向いていない、短い、低い、の3つがミスにつながります。距離の長いクロス(対角線)に打つと、ミスの余裕が増えます。
逆に相手からロブが上がってきたら、スマッシュで決めにいかずに「バンデハ」で返すのがパデルの定番です。バンデハは、スマッシュとボレーの中間にあたるショットで、パワーを抑えてコントロール重視で打ちます。打ち方は週刊ダイジェスト9/19号「バンデハを覚えよう」で紹介しています。
ステップ4:ネット前のボレーは「小さく、前で」

ネット前に出たら、ボレーで相手を押し込みます。テニス経験者は振りを小さく、が合言葉です。ポイントは次のとおりです。
- ラケットは打つ高さに構えておく:ネットより高い位置で構え、ボールが来てから持ち上げなくていいようにします
- 大きく振らない:フルスイングではなく、短いラケットの動きで当てます
- 利き手と反対の足で踏み込み、体の前でとらえる
ボレーは力ではなく、短く鋭い反応で返すショットです。初心者のうちは、速いボールは面を合わせて相手に返す(ブロック)、ふつうの速さのボールは相手コートの深くへ押し込む(プッシュ)、の2つから覚えましょう。
ステップ5:2人で一緒に動く

ステップ1〜4は、どれも「2人で動く」とセットです。ロブで相手を下げたら2人で一緒に前へ。ロブで頭上を抜かれたら2人で一緒に後ろへ。1人だけが前に出ると、2人の間に大きなすき間ができて、相手はそこを狙ってきます。
アジア大会で金メダルを取った徳本・塚本組の試合からも、この基本の大切さが見えます。詳しくは週刊ダイジェスト10/3号「2人で1枚の壁」で紹介しています。ボールが来る前に「マイン(自分が打つ)」「ユアーズ(任せた)」と声をかけ合うだけでも、お見合いや衝突がぐっと減ります。
4人そろったら試したい練習メニュー
ステップを一通り知ったら、ゲームの合間に練習の時間を取ってみましょう。ガイドが紹介している、4人でできる練習を2つ挙げます。
- ロブの練習(2アップ・2バック):1ペアがネット前、もう1ペアが後ろに立ちます。ネット側が球出しをして、後ろのペアはロブでラリーを始めます。そのままポイントを最後まで戦い、2ポイントごとに前後を入れ替えます。先に10ポイント取ったペアの勝ちです
- ボレーの練習(相手を下げる):1ペアがネット前、もう1ペアが後ろに立ちます。ネット側のペアは、ボレーをサービスラインより深く返します。最低3本はボレーを続けてから、ポイントを決めにいきます
ゲーム形式なので、練習というより遊びの延長で盛り上がれます。
一人で早く着いたら:ボール1個でできる練習
コートに一番乗りしたときや、空いた時間に一人で打てる練習もあります。The Padel Schoolは、ボールと空いたコートさえあればできる一人用の練習を動画で紹介しています。ウォーミングアップにもなります。
(英語の動画ですが、動きを見るだけでも参考になります)
上達のいちばんの近道は、コーチに見てもらうこと
LTA Padelのガイドは上達のコツとして、できるだけ定期的にプレーすること、そしてコーチのレッスンを受けることを挙げています。始めたばかりのうちに付きやすい癖を、早い段階で直してもらえるからです。体験会のあとに「壁のところ、どう動けばいいですか」と一言聞いてみるだけでも、次のコートで見える景色が変わります。
多くのコートが、初心者向けのレッスンや体験会を開いています。近くのコートは関東・名古屋・東海・大阪・関西のコート一覧から探せます。最初につまずきやすいポイントはパデル初心者が最初につまずく7つのポイントにまとめています。一緒に打つ仲間がまだいない人は、パートナー・仲間の見つけ方もどうぞ。最初はコートのレンタルラケットで十分です。続けると決めて自分の1本がほしくなったら、初心者向けパデルラケットおすすめ6選で選び方を紹介しています。
まとめ
次にコートへ行ったら、まず後ろの壁の前で「一歩下がって、待つ」を10球だけ試してみてください。壁が味方になると、ラリーが一気に続くようになります。そこにサーブ、ロブ、ボレー、2人の動きを1つずつ足していけば、パデルはどんどん面白くなります。
出典:Padel tips and techniques(LTA Padel)、How to play off the back glass in padel(LTA Padel)、Padel serving guide(LTA Padel)、Master your lobs(LTA Padel)、Volley tips to dominate at the net(LTA Padel)、The Back Glass in Padel #1(The Padel School)、Mastering the walls in padel(Padel39)、Padel Doubles Strategy(The Padel School)、動画:パデル名古屋、庄山大輔|ジャパンパデルアカデミー、The Padel School(各公式YouTubeチャンネル)


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